ガーベラのつぼみ

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K二丁目

本の感想と、日常と。

落ち込んだ気分を自然に前向きにさせてくれる本

 特に何かあったわけでもないのに、気分が沈んでいることに気付くことがある。これはとてもやっかいで、何もないのだから打ち手をほどこせるわけでもなく、かといってどうにか解決しないといけない程でもないため、何もしないことが殆どだ。こういうときは、大概友人に会ったり、買い物にでかけたり、映画やTVを観たりすると、いつの間にか忘れていたりする。しかし、その得も知れないブルーな気持ちは、さながら当然のようにまたやってくる。これに抵抗しようと、あえてそれらしい、幸せになれる本だとか、自己啓発的な本だとかに手を伸ばすと、気持ちを一時的に飛躍させ、所謂リバウンドのような現象が起きてしまう。この慢性的な病を取り除くには、ゆるやかに、自然な気持ちの変化を起こす必要がある。それはいつも、ふと出会うものだ。

 私は最近本を読みだし、そのおかげか、それを知ることとなった。ロバート・A・ハインラインの「夏への扉」という小説だ。

 この本はSF小説に分類され、SF小説といえば必ず名前が出てくるほど有名なもので、私自身「SF小説 おすすめ」とgoogleに聞いて教えてもらったのである。つまりは、本を読む前には、近未来的な、少年心を刺激してくるだろう、という期待を持って読書に臨んだのだった。

 この期待が全く裏切られたわけではない。作中では、こうした近未来的な技術、SFという言葉を聞いて思いつくセオリー通りな展開はもちろん必須のものだった。しかし、SFながらも、読み終わった後はすがすがしく、かつ日常的な感覚からは逸脱しすぎない、さわやかな気分にさせてくれていた。冬にも関わらず爽やかな、そして夜にも関わらず朝日が部屋の中を照らしてくれるような感覚だ。

 読後に、一つ確認しておきたい知識があった。かの有名なレオナルド・ダヴィンチについてだ。作中では特に重要な要素になるわけではないが、だからこそ改めて知りたい好奇心が湧き出る。レオナルド・ダヴィンチ(1452-1519)はイタリアの芸術家であるが、音楽や建築、天文学、地理学など様々な分野で高い業績をあげた多才な人物だ。芸術家としての作品は「モナ・リザ」、「最後の晩餐」など知らない者はいない程の作品を残している。ダヴィンチの科学に対する研究は基本的に観察によるものだとされており、残したものは詳細な記述と画像化を繰り返したものだった。実験や理論は重視していなかったようだ。それはもしかしたら、未来人が故に答えをすでに知っていて、彼の中では証明する必要はなかったのかもしれない。