ガーベラのつぼみ

読者です 読者をやめる 読者になる 読者になる

K二丁目

本の感想と、日常と。

行政書士の仕事を教えてください

 大学生2年生の後半から3年生くらいの頃、だんだんと周りが就活を意識し始めていた。インターンに応募する者、企業研究を始める者、まだ大丈夫だろうと何もしない者、周りにはいろいろな人がいた。私は正直何もしない者に属していて、いろいろ行動に移す人たちのことを意識高いな、などと少し馬鹿にしたように思っていた。それは何もしない自分のことを、肯定的に思いたかったのだろう。

 それでもいよいよ就活が間近となってきた頃、さすがに何かしなければと焦るようになる。ありがちだが、とりあえず何か資格を取っておこうと、どんな資格があるのか調べていた。簿記やFP、社労士、結局どれも、資格を取るどころか受験すらしなかったのだが。

 その中に、当時は見向きもしなかった資格がある。行政書士、だ。行政書士が一体どういうものなのか、言葉からは少しも想像できず当時は調べもしなかったが、最近ふと気になってしまった。

 業務内容なんかは少し検索をかければ、表面的にはすぐわかる。

行政書士とは、行政書士法に基づく国家資格であり、官公署に提出する書類および権利義務・事実証明に関する書類の作成、提出手続きの代理または代行、作成に伴う相談などに応ずる専門職である。

(wikipedia)

 だが知りたいのはそれよりも実態に近いお話しだ。直接話がきければそれがよいが、残念ながら行政書士の知り合いはいない。そんなときに小説仕立てで行政書士の仕事を教えてくれる本「行政書士の花道」に手にすることになった。

 本書は行政書士の基本的な仕事を、6つの一話完結型のストーリーで分けて教えてくれる。表現は易しく、まったく知識がない者でも読みやすく、かつ筆者の経験を基にした現実的な視点で書かれているため分かりやすい。行政書士のイメージを掴むには、親切な良書であると感じた。

 具体的には、「建設業許可申請」「外国人在留資格審査申請」「公正証書遺言の作成」「風俗営業許可申請」「離婚に関する公正証書の作成」「技術補助金の申請」の6つの業務を、26歳行政書士の右原カンナを主人公とした物語で書かれている。どれにしても、こんな仕事を請け負っているのか、こんなところまで請け負っているのか、と行政書士の日常が細かくわかる案件、展開ばかりだ。行政書士という言葉だけを見た最初の印象は地味でつまらなさそうな仕事だというものだったが、魅力あるキャラクターやストーリーで飽きずに読み進めることができた。

 巻末のQAでは、筆者がこれからの行政書士を4つに大別した説明があった。建設業許可申請風俗営業許可申請など、許認可業務のプロフェッショナルになる行政書士内容証明郵便や遺言書、離婚協議書などを作成する民事法務の専門家。それから会計業務に重点を置いた経営コンサルティング系と、販促活動やメディア等でのPR活動を行う総合プロデューサーとしての行政書士。説得力のある申請書の準備・作成、申請を通すためのテクニック・折衝力を売りとした行政書士が王道だとすれば、後者のタイプはさらに付加価値を提供する、自らをブランド化したタイプの行政書士なのだろう。行政書士という肩書にとらわれず、文字通り、人によって様々な業務をこなすことになる。実際に、本書には行政書士でも、税理士や社労士の資格や不動産の知識を持ちながら仕事に活かす人物も登場する。

 本書を読んで行政書士を目指そうと思う者がどれくらい生まれているのかはわからないが、本書でもあるように、およそ関わりのない人にとっても、行政書士として活動されている方たちの仕事に対する姿勢を学ぶ一つとして、大変参考になる本だと思う。